note版「思い入れ歴史・人物伝~太平記編」の番外コラム2本を掲載いたします。
参考文献は「マンガ日本の古典 太平記」
太平記編を書くにあたっての参考文献「マンガ日本の古典」シリーズの「太平記」についてご紹介します。著者は劇画家のさいとう・たかをさんです。
この本を書店で見つけたのは今年5月下旬ころでした。「大宰相シリーズ」などで馴染み深いさいとうさんの著作だったので、上中下巻をまとめて購入し、一気に読み込みました。
「太平記」の舞台である鎌倉末期から南北朝は、敵味方が激しく入り交じる動乱・戦乱の時代でした。室町幕府初代将軍の足利尊氏でさえ、勝ったり負けたりを繰り返しているほどです。
マンガ「太平記」は原作に沿いながらも、さいとうさんが「注釈」を加えながら描いていますので、原作者の思いや時代背景などが分かりやすかったです。もちろん、合戦の描写が素晴らしいのは言うまでもありません。
今回、noteで書いた部分は上巻にあたります。「太平記」はさらに、後醍醐天皇の親政から南北朝の動乱へと話が進んでいくのです。再度、歴史・人物伝で取り上げていければと思っています。
大河ドラマ「太平記」のこと
1991年のNHK大河ドラマで、鎌倉末期から南北朝時代を初めて取り上げた「太平記」が放送されました。脚本は、現在放送中の「麒麟がくる」も手掛けている池端俊策さんです。
戦国時代と幕末・維新の時代ばかりを追いかけていた私にとって、太平記の舞台となる時代は未知でした。放送に合わせて様々な本が出版されましたので、それらを読みまくった記憶があります。
この時代は、敵味方や勝敗がはっきりしている戦国や幕末と違い、理解するのに時間がかかりました。それでも、池端さんの分かりやすいシナリオのお陰で、ドラマは毎回楽しく視聴させていただきました。
主役の足利尊氏は真田広之さん、後醍醐天皇は片岡孝夫さんが演じ、脇を固める俳優もそうそうたるメンバーが揃っていました。その中でも、印象に残った配役の方が何人かいらっしゃいます。
一人は北条高時役の片岡鶴太郎さん。古典文学「太平記」で描かれる暗君そのままに、どこか虚無感が漂い、やがて滅びゆく最高権力者の姿を見事に演じました。鶴太郎さんの新境地を築いた配役かもしれません。
それから、尊氏の弟・足利直義役の高島政伸さん。常に尊氏を支え続け、足利幕府の基礎を作った人物です。最後は兄弟の対立の末、尊氏に殺されますが、「わしを殺してこそ大将軍じゃ」と語る姿には涙しました。
もう一人、尊氏の生涯の盟友だった佐々木道誉役の陣内孝則さんです。源氏の系譜をもつ道誉は、この当時「ばさら大名」と呼ばれており、陣内さんが豪快かつ知略に富んだ人物を演じていました。