歴男マイケルオズの「思い入れ歴史・人物伝」

戦国や幕末・維新を中心に古代から現代史まで、主に「人物」に視点を置きながら、歴史好きのオヤジが思いつくままに書いています

歴史・人物伝~大河コラム:大河ドラマ「鎌倉殿の13人」熾烈な権力抗争に向け、伏線が張られた回

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は、3日の放送で源頼朝の死と頼家の2代将軍就任が描かれました。そして、選挙報道で1週休みの後、いよいよドラマは後半へと進んでいくことになります。史実では、ここからが御家人たちの熾烈な権力抗争になっていくのです。

頼朝という鎌倉幕府の大黒柱が突然倒れたことで、次の将軍を巡って御家人たちの思惑が錯綜していきました。身内であるはずの北条家も例外ではありません。容体を心底心配していたのは、妻の政子一人だったのです。そして頼朝はついに亡くなってしまいました。

権力抗争の「伏線」と思われる場面が次々と現れます。比企能員とその一族は、頼家を通じて御家人の中心となるべく暗躍を続けていきます。それに対抗しようとするのが、北条時政妻りく(牧の方)。夫をたきつけ、北条氏が権力を握るよう画策していくのです。

りくの画策を実行に移していったのが時政。前半のようなマイホームパパぶりから、権力の亡者へと変わっていくきっかけになったのが、頼朝の死だったのではないでしょうか。それに伴い、一枚岩だった北条ファミリーに亀裂が生じていきます。

北条ファミリーと言えば、頼朝の弟である阿野全成と、妻で政子や義時の妹である美衣(阿波局)も権力争いに巻き込まれていきます。夫が将軍になる可能性があると分かった美衣は、次期将軍に頼家を推した政子に対し、怒りをぶつけてしまいます。

頼朝に絶大な信頼を受けていた梶原景時は、早くも頼家に取り入り、信頼を得ようと腐心します。大江広元は、全成の将軍就任を支持するなど、全方位外交のような姿勢を見せるのです。さらに和田義盛の「これで板東武者が治めることになる」との発言も、後々の伏線になっていきます。

そして北条政子。彼女こそ、頼朝の死によって最も変わっていく人物となるのです。頼朝というカリスマは絶対の存在であり、たとえ我が子であってもなり代われるものではない。頼朝が築いた幕府を守っていくのは、妻である自分の役割だと腹をくくったのです。

引退を示唆した弟の義時に「無責任だ」と激しく詰め寄り、頼朝に代わって自分を支えるよう求めます。その言葉に義時も翻意し、政子への協力を誓うのです。ここからが、歴史に名を残す北条政子北条義時のスタートになるといっても過言ではありません。

なお、次回(17日放送)の予告編に後鳥羽上皇尾上松也さん)がチラリと登場していました。いよいよ、ラスボス登場かと思うと、後半のドラマも楽しみになってきますね(笑)