歴男マイケルオズの「思い入れ歴史・人物伝」

戦国や幕末・維新を中心に古代から現代史まで、主に「人物」に視点を置きながら、歴史好きのオヤジが思いつくままに書いています

歴史・人物伝~大河コラム:大河ドラマ「鎌倉殿の13人」牧の方(りく)VS北条政子

9月25日放送の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は、北条一族内の抗争への序章が描かれました。対立の構図は「時政VS義時」の親子になりますが、その陰には「牧の方(りく)VS尼御台(政子)」という女同士の対立があります。

時政と牧の方は、執権としての権威を回復させ、政権中枢にいる義時と事実上の実権を握っている政子を排除しようと企てます。その手段として、実朝を将軍の地位から追い払い、娘婿の平賀朝雅を将軍に据えるというものです。

平賀朝雅は、曽祖父が新羅三郎義光という源氏の出身で、将軍の座に着けるだけの家柄の人物でした。時政が将軍を傀儡にして実権を握るのに、これ以上好都合な存在はありません。

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牧の方は、政子に対して「政治に口出しせず、おとなしく仏の道に進んでもらいたい」と苦々しく思っていたでしょう。朝雅は政子と血縁関係がないので、将軍になれば政治に関与できなくなるだろうと目論んでいました。

政子からすれば、実子の実朝に落ち度があるわけでもないのに、将軍を交代させるというのは暴論に過ぎず、到底納得できるものではありません。牧の方と年齢が近かったと思われるので、昔から「疎ましい義母」と感じていたかもしれません。

ドラマでは、これまで御家人同士の争いの蚊帳の外にいた政子ですが、牧の方がからんでいる父親(時政)の謀略には、積極的に関与せざるを得ません。政子の存在は、義時が御家人たちを味方につける意味でも大きかったと思います。

 

もう一つ、この抗争とは関係ありませんが、後々の伏線となるシーンがありました。それは、政子と実朝の妻(千世)と、義時の後妻ののえ(伊賀の方)が、お菓子を食べながら歓談する場面です。

一見和やかそうが、上昇志向を見え隠れさせるのえに、政子も千世も辟易としてしまうのです。政子が、のえを快く思っていないという描写のようにも見え、義時の死後に起こる「伊賀の方の乱」の伏線のように思えてなりません。

 

 

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