幕末の京都で治安維持を担っていた「新選組」は、会津藩お雇いの私的な浪士集団から、様々な事件・戦乱への出動実績を積んで幕府に認められ、ついに幕府の正式な軍事集団へと昇りつめました。その局長が、お馴染みの近藤勇です。
近藤はもともと、多摩の豪農の家に生まれた「百姓の子」で、近藤家に養子に入って道場を継ぎ、武士の地位をつかみました。ただ、武士と言っても最下層の浪士に過ぎず、京都に到着した時は全く無名の存在でした。
時代が下って、幕府の傘下となった新選組の局長として、近藤は旗本格に位置付けられます。さらに、徳川慶喜に従って江戸へ戻ってから、甲陽鎮撫隊として甲州街道を進軍し、故郷である多摩の地を久しぶりに踏み、大歓迎を受けました。
この時、近藤は若年寄格にまで出世しており、故郷に錦を飾ったのです。さらに、甲府城を接収できれば、大名への道も開けました。とはいうものの、時代はすでに明治の新しい世に移っており、その道は「夢物語」に終わってしまったのです。
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