昨日のブログでご紹介した黒田官兵衛は、信長を裏切った荒木村重を説得するため、有岡城に出向き、逆に幽閉されてしまいました。その村重の妻は「だし」という名で、信長の一代記「信長公記」の作者・太田牛一は「有名な美人」と書いています。
村重自身は有岡城から脱出し、信長の横死後も生き延びたのですが、だしをはじめとした荒木一族は有岡城陥落後、見せしめのため処刑されてしまったのです。信長公記では、辞世の句などとともにその様子を書き記しています。
だしの最期を牛一は「車から下りると帯を締めなおし、髪を高々と結いなおし、小袖の襟を後ろへ引いて、見事に首を斬られた」と記しました。武将の妻として、見苦しい姿は見せまいという誇り高き姿がうかがえ、それが哀れにも思えます。
大河ドラマ「軍師官兵衛」では、幽閉中の官兵衛を気遣うだしの姿が描かれています。桐谷美玲さんが演じただしは、ドラマのフィクションというばかりではなく、当時の写し絵だったのかもしれませんね。